おたより


2024.3.28

おたよりが書けないまま年を越して、季節が変わろうとしている。

SNSを始めたらその手軽さに甘えて、すっかりパソコンを開くことがなくなってしまった。

もうすぐ4月。

気持ちを新たにがんばります。

 

 

「夢みてるみたい」

2023.12.11

祖母のお見舞いに行ったときのこと。

一冊の絵本を持って行きました。

荒井良二さんの『たいようオルガン』。

確か、発売されて間もないころだったから、もう15年も前のこと。

祖母は入院中、お見舞いに持ってきてくれた花の絵を描いたり、本を読んだりして過ごしていました。

本を読むのも疲れてしまうと聞いてだったか、「わたしが読んであげたらいいんだ」と思いつき、その時一番好きだった本を持って行ったのかもしれません。どうやって読んだのか、どんなふうに聞いていたのかは記憶に残っていないのですが、読み終わったあと、「夢みてるみたい」と言われたのをはっきりと覚えています。

後になって、どんなきもちでそう言ったのかを考えると胸が痛くなるのですが、当時のわたしは何もわかっていなかったように思います。

「好きなことをやりなさい」といつも言ってくれた祖母。その言葉通り、好きなことをたくさんやってきたわたし。

祖母の若いころは、好きなことなんてできないのが当たり前の時代だったでしょう。

今だって、今日一日を生きられるかどうか、それだけしか考えられない人々がたくさんいるのをわたしたちは知っています。

「夢みてるみたい」と言った祖母の心の中は、今となってはわかりませんが、母を見れば、夢みる心は育まれ、大切に守られてきたことは確かです。

どうにもならないような、どうしようもできないような、大きな悪の力には、何もできないと思ってしまいますが、いてもたってもいられなくなるようなワクワクする心、胸がいっぱいになるようなドキドキするきもち。そういう心持ちを大切に育てていくことが、何か役に立つような気がしてなりません。

本は、そのために必要なものだと思っています。

 

『たいようオルガン』| 荒井良二 さく | 偕成社

 

ひなのちゃんとおつきさま

2023.11.28

保育園でのこと。

とても元気な女の子がいました。

名前はひなのちゃん。

お迎えはいつもお母さん。お仕事の都合で夜遅くなることがありました。

2歳になっていたでしょうか。日中、おともだちとたくさん遊んで、お昼寝をしているとはいえ、夕方になっても元気いっぱいのひなのちゃん。

ある日のこと。一人、また一人と部屋からおともだちが帰っていきます。きっと、このときのこどもたちの心境はおもちゃに夢中になっていたとしても、さびしいものだと思います。なるべくさびしいきもちを紛らわせるために、膝の上で絵本を読むことがよくありました。たくさんこどもたちがいるときは叶わなかった一対一の関わりができるのは、お迎えの遅いこどもたちの特権でもあります。この日もいくつか絵本を読んでお迎えを待っていました。その中には『おつきさまこんばんは』もありました。

窓の外を眺めます。もう暗くなってきました。そのとき、きれいな満月が見えました。

「ひなのちゃん、みて!おつきさま!」

一人お迎えを待つひなのちゃんと、しばらく月を眺めながら、「あ!くもさん、こないでこないで!おつきさまがないちゃう!」と『おつきさまこんばんは』の世界をたのしみました。

お母さんがお迎えにくると、ひなのちゃんは「おつきさま!」と夜空を指さしてうれしそうに教えてあげていました。

なんてことのないある日の思い出ですが、満月を観るとあの日のひなのちゃんの笑顔が浮かんできます。あっかんべーと笑ってくれます。

林明子さんの絵は、おとなが観てもうっとりするほど美しくて、本の中から夜の澄んだ空気が漂うようようです。0歳から何度も開いて観てほしい一冊です。

 

ホームページがあるので、SNSはしなくてもいいかなと思っていたのですが、急なお休みなどのお知らせのために「X」を利用しています。お客様から「instagramはないですか?」というお声をいくつかいただいたので、ご要望にお応えして満月の昨日から始めました。instagramでは、主に販売している本の紹介をしていきます。こちらのおたよりでは、いしとゆきが大切にしたいこと、伝えたいことなど、少し長い文章を書いていきたいと思います。

トップページにあるそれぞれのマークから見られるようにしました。

ときどきのぞいていただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします。

 

『おつきさまこんばんは』|林明子 さく|福音館書店

 

追伸 : いままで日付は一番下に載せていたのですが、今日から一番上に記載します。

 

鉢植えで育てている大文字草の蕾がたくさん上がってきて、白い花びらがちらちらと見えはじめました。

おんなの子が一人、立ち止まって見てくれていました。お母さんに呼ばれて行ってしまいましたが、何か気になってくれたのでしょう。

落ち葉掃きをしていると、通りがかったご婦人が看板に気づき足を止めてくださったので「本を売っています。どうぞご覧ください。」と声をかけると、ゆっくりと見てくださり「よさそうな本が置いてあるわね」と笑顔を見せてくださいました。棚を見るとどんな本に手をのばしてくれたのかがなんとなくわかって、もっとお客さまに見てもらいたいな、知ってもらいたいなと思いました。

いしとゆきは、絵本が目立ちますが、エッセイや詩集なども並べています。限られたスペースの中で選んだ約100冊の本は、こどもだからとか、おとなだからとか関係なく、手にとって味わってほしい本ばかりです。

何かいい本あるかな?ちょっと本でも読もうかな。そう思ったときに気軽に立ち寄っていただける地域の本屋さんになりたいなと思っています。開いている時間が限られておりご不便をおかけしますが、お気軽に足を運んでいただけたら幸いです。

2023.11.8 立冬

 

早いもので、開業してから一ヶ月が経とうとしています。

ここで、この一ヶ月を振り返って記録に残しておこうと思います。

駅からも近く、人通りの多い場所なので、興味を持って足を止めてくださる方は何人かいらっしゃるのですが、中まで入ってきてくれる方はなかなかいません。外へ出て花壇に水をあげたりしていると、「なんのおみせ?」「もっと本が見えるといいね」と、ご近所の方が声をかけてくださいました。たしかに外から見てみると、奥の本棚がかくれていて、なんのお店なのか、そもそもお店なのか、わかりづらいことに気がつきました。準備期間はずっとカーテンを閉めて中だけで作業していたので気がつかなかったのですね。これは、工夫が必要です。よく見えるところに新たな棚を作成しようと計画中です。

そんな中、近くにお勤めの方や、ご近所にお住まいの方が来てくださり「こんなすてきな本屋さんが近くにできてうれしい」「たのしみができました」とおっしゃっていただき胸が熱くなりました。

お店を営むということは、地域の方々とつながりをもち、そのつながりのなかでいっしょに作りあげていくことなのだと気づかされました。

お取引をさせていただいている夏葉社の島田さんに開店のご報告をさせていただくと、SNSで「いしとゆき」の紹介をしてくださいました。これはほんとうにありがたいことです。たくさんの反響があったようで、地域の方に喜んでいただけていることがわかり、大きな励みになりました。

SNSもアカウントを作成中です。新入荷の情報や、急なお休みがあった場合は、そちらで発信していきたいと思っています。

まだまだ至らない点が多くありますが、たのしみながら、ひとつひとつ積み重ねていきたいと思います。

末長くどうぞよろしくお願いいたします。

2023.10.28

 

宮城県図書館のわらべうた・手遊び講座を受講してきました。講師は佐々木博美さん。2時間があっという間の素敵な講座でした。

行きの電車を待っている間、曽我部恵一BANDの「キラキラ!」を聴いていたら涙があふれそうになって、ああ、わたしキラキラしたいんだなぁと自分の心に気づいた朝でした。

佐々木先生はいつも「きょうのわたしは幸せですか?」と自分に問うそうです。そして「きょうわたしは幸せです!」とおっしゃる姿がとてもキラキラしていて素敵でした。「わらべうたはまず、自分がたのしもう!堂々と!」ともおっしゃっていました。これには全く同感です。わらべうたに限りませんが、何かを伝えたいと思ったとき(思っていなくても)本当に好きなことをたのしんでいる人の姿というのはとても魅力的で、身体全体からそのたのしさが伝わってきて、いいなぁ、素敵だなぁと自然にその魅力が伝わってしまうものなのだと思います。

一人一人がそれぞれに自分の好きなものを堂々とたのしめる。そんな世の中だったらいいなぁと思うのです。

2023.10.14

 

落ち葉がカラカラところげまわる風の強い日。エノコログサたちはみんなでサワサワとくすぐりあっているようです。

風は、目に見えないけれど、わたしたちの「きもち」に大きく作用します。

厳しい暑さが和らぎ、夏から秋へ変わるころの金風は、おもわず目を閉じて全身で感じたくなるようなやわらかい風。もうしばらくすれば、金木犀の香りが加わり、なぜだか切ないきもちになったりします。

きょうのような強い風は、少し不安なきもちになったり、何かが始まりそうな、何かが変化しそうな、胸騒ぎを憶えます。

実は、宮沢賢治の作品をちゃんと読んだことがありません。盛岡を訪れたときに、ちくま文庫の「宮沢賢治全集」第1巻を購入し、「ようし、これから盛岡へ行く度に一冊ずつ揃えよう」と意気込んだのですが、なかなか先へ進めません。この『宮沢賢治のオノマトペ集』は、宮沢賢治の童話のなかからオノマトペを拾い出し、1ページごとに手書き文字のオノマトペとそのオノマトペが含まれた作品の一部、編集者による解説を読むことができます。「風の章」「水の章」の他「歩く・踊る」章、「食べる・飲む・噛む・吸う・吐く」章などにわかれて編まれており、賢治の自然を表現することばの多様さに感心し、やっぱり興味をひかれるのです。

 

『宮沢賢治のオノマトペ集』|著者 宮沢賢治 監修 栗原淳 編者 杉田淳子|筑摩書房

2023.10.5

 

入口を開けていたら、案の定いらっしゃったお客さま。かゆいのは御免なので外へ追いやる。せっかく来てくれたお客さまを追いやるなんてと、まどさんならおっしゃるかしら。

 

『まど・みちお詩集』|編者 谷川俊太郎|岩波書店

2023.10.2

 

秋めいて、長かった夏もやっぱり終わるんだなぁと、季節がちゃんと巡ることに改めて感心しています。0歳児クラスを担当するときは、必ず持っていたえほん『くだもの』。給食のメニュー表をチェックして「きょうはりんごが出るからこれを読もう」と準備します。「さあ どうぞ。」と絵本の中のりんごをこどもたちの口もとへはこぶと「あーん」とかわいらしいお口をあける姿がなんとも愛らしいのです。くだものを持つおとなの手とこどもの手の違いが描かれていることは、今になって気がつきました。

『くだもの』の作者、平山和子さんと、お連れ合いで画家の平山英三さんの共作『落ち葉』は、和子さんの落ち葉への想いが「本」という箱の中に大切におさめられているかのような一冊です。ある一枚の落ち葉との運命的な出会いから、落ち葉につよく心をひかれる和子さん。本の中で「この美しさは、とても描きあらわすことはできない」と思ったりすると書かれています。でもその美しさを描きあらわしたいという強い想いが絵にあらわれていて、描きだされた落ち葉に、わたしたちは心をひかれ、落ち葉との出会いをたのしむことができます。『くだもの』もそうですが、和子さんの絵は、ただ写実的に描かれたきれいな絵ではなく、対象への愛情が伝わってきます。そういうえほんをこどもたちに見せてあげたいなぁと思います。

 

『落ち葉』|平山和子 文と絵 平山英三 構成と写真|福音館書店

『くだもの』|平山和子 さく|福音館書店

2023.10.1

 

うすぐもりの土曜日、まもなく開店します。

午後から雨の予報。

のんびり初日を過ごせそうです。

片山健さんの「コッコさん」シリーズはどれも好きですが、この『コッコさんとあめふり』は保育園でも人気の絵本でした。

雨の日と言えばこの絵本を思い出します。

雨ふりが続く日々、コッコさんはてるてるぼうずをつくります。でも雨はやみません。コッコさんは工夫をします。自分でかんがえてそれを実行します。

そのアイデアが愛らしくて、絵本の中には登場しませんが、コッコさんを見守るお父さん、お母さんのあたたかいまなざしが感じられます。

 

『コッコさんとあめふり』|片山健 さく・え|福音館書店

2023.9.30

 

今夜は中秋の名月。いよいよ明日、ひっそりオープンします。

2023.9.29

 

オープンまであと2日。

2023.9.28